【放送後記】無名の人間が視聴者1万人突破の放送をすると、何が起きるのか


NASAの会見の同時通訳生放送の舞台裏で何が起きていたのか
少し長くなりますが書いておきます。

その日僕は4名の放送布陣を敷いていた。

僕は今回の放送の視聴者数の目標を100人に設定した。

僕らツブゾロッタフィルムは今までも
NHKケータイ大喜利に生放送で挑戦」や
話題のチャットルーレットに潜入生放送
などの企画放送をしている。
いずれも同時視聴者数は40名ほど。
100人は目標としては少し高い。

だから僕はプロモーションに精を出した。

生放送の番組表サイトである

の3サイトに投込みをした。
むふふ。こういうサイトがあるのは本当に心強い。

次にメンバー(10名)に、告知記事をツイートするようメールで呼びかけた。
何名かがツイートしてくれた。

これで用意は万全。100人友達できるかな♪
というような気持ちで放送開始を待った。

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僕が異変に気づいたのは本番開始まであと10時間ほどの18時頃だった。
友人だけではなく、知らない人のリツイートが40を超えていた。

「むむ、これは本当に100人くらい来るかもしれないぞ…」

期待と緊張に胸が高鳴り始めた。
そしてこれが恐怖の序曲であったことは、
その時の僕はまだ知る由もなかった。

23時、日本側の3名は、放送場所のJ自宅で、
最終の打ち合わせをしていた。
その時にふとネットを見た。

告知記事のリツイートが100を越えている…!?

どういうことだ!?

急いで原因の究明にインターネットを駆け巡った。
理由はすぐに分かった。
本日の生放送を日本語で聞きたい人が、やはり大勢いたんだ。
検索からツブゾロッタの告知記事に来ているようであった。

恐る恐る調査を進めた。

「NASA 宇宙生物学 会見 同時通訳」 → 検索結果1位

「NASA 会見 同時通訳」 → 検索結果1位

「NASA 会見 通訳」 → 1位

「NASA 通訳」 → 1位…!?

ちょっと待て。
NASA 通訳」って、もっといろいろあんだろ。ないの?!

放送時間が迫るに増えて、確実にリツイートが増えていく。完全に予想外だ!

少し冷や汗が僕の背中を伝った。

恐る恐る告知ページのアクセス数を見てみた。

700人、、、だと、、、!?
いつもの30倍だと!?!?
※11月にオープンしたばかりなので、普段は20名ほど

僕は震える声を友人に悟られないようにこう言った。

俺「ひょっとしたら500人は超えるかもしれない。覚悟しておけ」

竹尾はアンポンタンだから、ヘラヘラ笑ってタバコ吸ってやがる。
分かってない。事の重大さがコイツは分かってない。

僕は事前に用意していた黒スーツ、黒ネクタイ、サングラスという
MIBスタイルの衣装を着ることをここで断念した。
竹尾はアホそうだから、用意した白衣と聴診器ををそのまま着用させよう。

Jも帰ってきて、諸々の打ち合わせを終わらせ
生放送の担当である俺は、テスト配信を開始した。

  • 音は問題ないか
  • 字幕は問題ないか
  • Skype中継はできるか

などチェック項目は多い。

アホな二人はもう寝ている。
ちくしょう。1000人来るかもしれないんだぞ。
ちっとは緊張しろよ。ボケナスども。

そう思いながら、日付が回った1時、
本番開始3時間前に、テスト配信を始めた。

開けた瞬間に100人を超えた。

まだ本番開始3時間前だぞ!?

手が震えている。
テスト配信なのに視聴者が伸び続ける。
僕はゆっくりとテスト放送を閉じた。

マズイ。マジで500人超える。
いや、1000人を超えるかもしれない。

いや、普通でいいんだ。
今はネットで誰もが個人放送ができる素敵な時代。
その次代を謳歌したいんだろ!?
だから朝の4時から放送するんだろ!?
俺は俺のままでいいんだ!!
カッコつけずに、普段のありのままの姿で放送しようぜ!

必死に自分を勇気づけた。
だが正直な体は、その震えを止めることは無かった。

そしていよいよ放送開始。
事前に用意していたYouTubeのMIBのトレーラーを流す。

その時点で500名を軽く突破した。
しかも増え続けている。
ツイートの流れの速さとか、孫さんのライブみたいだった。
僕はこの時点で頭が真っ白になった。

俺「さあ!ということでいよいよNASAが重大な発表をするわけですが…」

その頃、僕が何を話したのか、ほとんど覚えてない。
ただ口がカラッカラに乾いていたことだけを覚えている。

そうだ!竹尾に話を振ろう!!
コイツ鈍感だから視聴者数なんて気にしてない。
良かった!お前がアホで良かった!!
俺はお前と違って繊細なんだ。頼むぜ!

俺「さて、今日の発表、竹尾さんはどう読みますか?」
竹尾「・・・・・・・・・・・」

固まってる…!!!

凝固してる!!!!!
お前さっきノーリアクションだったじゃん!!!

もうダメだ。むしろ早く本番が始まってほしい。
本番が始まれば、あとはJの独壇場。
彼の同時通訳を聞いていればいいんだ。

かくして重たい30分間を何とか乗り切り
本番の4時になろうとしていた。
視聴者はうなぎ登りに登り続けて
1万人になっちゃってる。

ニコニコの音声を落として、
Jの声の音声を上げようとしたその瞬間、

信じられない音声が僕の耳を突いてきた。

ニコニコが同時通訳をしている!?!?
しかもプロだと!?!?!?

多分その時の僕はこんな顔をしていたと思う。

もうこれ以上、俺の脳みそを使わせないで!
CPU稼働率はもう100%よ!!

いくらJの英語が堪能とは言え
プロの同時通訳者が放送している横で
素人の同時通訳をやる意味があのかッ!?

ふと、Jの方に目をやると、
20年来の友人のJが見たこともない顔をしていた。

俺「ど、、どうした!?」

J「分からない…」

俺「あんだって!?」

J「何を言ってるのか分からない…」

馬鹿なっ!!
俺はお前が何を言ってるのか分からない!

だが、それもそのはず。
今回の記者会見は非常に専門的な用語が多く
ぶっちゃけ日本語を聞いていても分からない程、難解だった。

ニコニコ動画はあまりの盛況のため既に定員オーバー
そこから人はさらに流れてきて
うなぎ登りに登り続けた同時視聴者は1万2000人に達した。

NASA公式、ニコニコ動画、僕らの配信

という奇妙な三つ巴で
一番視聴者数が多いのが僕らの放送!!

しかもそこには30代過ぎの男の
苦い顔が3つ並んでいるだけだ!

朝の4時に汚い30男の顔の放送を
1万2千人が見ている!!

シュールにも限界がある!!

僕は自分の正義と戦っていた。
大見栄を切って「同時通訳放送します!(キリッ」
とか宣言しておきながら、
このままニコニコ生放送のミラーサイトになるのか。

コレは平たく言うと、詐欺ではないのか?
いや、平たく言わなくても詐欺だ。

俺「J!!!ムリでもいい!!オリジナルでやろう!!!」

僕はJに最後のハッパをかけた。
Jは苦そうな顔をさらに苦くしながら
一言

「無理だ…」

と言った。

僕はゆっくりとニコニコの音声をあげ
その後はひたすら押し黙って
ミラーサイトの運営に専念した。

本当は自分の正義を通したかった。

だが1万2千人を前に、
少なくとも同時通訳を期待してやってきた1万2千人を前に
「ニコニコのミラーはできません。
しかも予定していた同時通訳も難しすぎてできません
あいすみません」

という選択は、到底できなかった。

ニコニコ動画から流暢な日本語通訳が流れる中
僕は自分の胃が4分の1くらいに縮むのを感じた。

その時、僕を救ってくれたのがタイムラインだった。
ここでは端折ったが、放送前に行ったNY中継で登場した長谷川が
にわかに期待されていることが分かった。

よし、NASAの中継が終わったら長谷川をいじろう。

かくして中継は終わり、
僕はすぐに待機していた長谷川へ中継を振った。

こいつが僕らを救った救世主HASEGAWAである。
NASA中継中の長谷川さん

ニューヨークのタイムズスクエアのど真ん中のスタバから
Skypeで生中継をしてくれたんだ。

にわかにタイムラインが盛り上がり始める。

  • 長谷川さんがクッチャクッチャしてんのがさすがニューヨーカー
  • 長谷川さん鳥につつかれてるみたい
  • 長谷川さんドヤ顔がしてね?

長谷川の容姿と、その後ろに座る知らない外国人に注目が集まり始めた。
後ろにいるおっさんは、タイムライン上で「志村さん」と呼ばれ始める。
後に長谷川がインタビューして分かったのだが
ギリシャからの観光客だったらしい。
まさか旅先のスタバで、日本から5000人に志村さん呼ばわりされていたとは
夢にも思うまい。

  • もう長谷川さんの話でいい
  • はせがわ&志村TV(笑)
  • 志村さんのtwitterアカウントきいてください。
  • 長谷川さんいじるのおもしろww

そしてタイムラインはほぼ長谷川一色になり

  • 長谷川さんになりたい。
  • 長谷川さんと付き合いたい
  • 長谷川さん美容院どこですか?

という人物まで現れ始める始末。

最終的には、長谷川がホットワード84位を獲得したという情報まで現れた。

そうして僕らの忘れられない生放送
長谷川一色になって終わった。

翌日、ツブゾロッタフィルムの放送が
GIGAZINEの記事にもなったことが会社の人から聞いて分かった。

いろんな人に
「すごいじゃないですか!?大成功ですね!!」

と言われたが、
朝4時の本番を見ていた人がいなかったため

誰も俺がミラーサイトに成り下がったことは知らなかった。

そして俺はその事実を言うつもりはない。

皆様もどうぞ生放送するときはお気を付け下さい。

見に来ていただいた皆様、本当に本当にありがとうございました。

放送の詳細数値

  • ユニーク視聴者数:21,767人
  • 合計視聴者数:31,151人
  • 延べ視聴時間:10,042時間
  • 平均視聴者数:4,036人

長谷川さんが大フィーバーを収めた部分を載せておきます。

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