高価なハイスピードカメラが無くても、超スーパースローがソフトウェアで作れてしまうという「Twixtor」。このソフト(プラグイン)を発見した時は、あまりに感動してしまって、こんな記事も書きましたが、今回実際に買って使ってみると、なるほど色々と分かった事がありましたのでレポートさせていただきます。
まずTwixtorとはどういうソフトかと申しますと、要するにコマとコマの間の存在しない部分をモーフィングによって補完して、擬似的にスーパースローを作成するプラグインでして、PremiereやFinalcut、AfterEffectsなどの映像編集ソフトのプラグインとして動作します。
このソフトの使用に関しては、高野光太郎さんという映像クリエイターのこちらのチュートリアルが大変分かりやすく、そして日本語なので、まずこちらをご覧いただくことをお勧めいたします。こちらを見ると分かりますが、一番重要な点としまして、撮影段階で1000分の1以下のシャッタースピードで撮影しないとスーパースローは作れませんのでご注意ください。
>クリエイターズ ビュー/高野光太郎氏によるTwixtor (ツイクスター)解説
そして今回私が作成いたしましたレポート動画がこちらです。
■twixtor slowmotion experiment. (is Twixtor really perfect plug-in to make super slow??) – YouTube
1:Twixtorは1色の背景で使うとGOOD!
まず第一に重要なのが、空のような1色の背景で撮影をすることです。1色の背景で作れば、1%〜3%の超スーパースローでも、とても奇麗にモーフォングします。逆に複雑な背景上では、モーフィング途中のコマがブレンドされた感じになってしまい、スーパースロー感が出ません。
また交差する動きもTwixtorは苦手でキレイに行きません
2:キレイに見えるところをうまく使う
写真では分かりづらいですが、この水しぶきもよく見るとモーフィング具合が分かってしまって美しくないのですが、引きの絵なのでそれほど気になりません。むしろ画面全体から受けるスローの画力が勝っています。
さらに映像が進むと、水しぶきが細かくなりモーフィング具合が気になってきます。もうこういう所はばっさり使わない方が良いでしょう。
3:スロー具合を変えてみる
スローにもいろいろとあると思いますが、30%あたりからのスローが僕は好きです。止まったように見える非現実的な世界が広がる1%のウルトラスーパースローもあれば、動きをもっと楽しむ10%のスローまで、表現はかなり違ってきます。こちらの水のパターンでは10%以下のスローだと、どうしてもカクカク感や、コマの間を補完した感が残ってしまいます。ですが30%くらいですと、補完したコマなどもすぐに過ぎ去って行くので、わりと許容範囲になってきます。
またこちらの場合ですと、3%の時は、モーフィングの具合が見え見えで美しくないのですが、逆に1%まで遅くすると、そのモーフィングがあまりにもゆっくりなため、むしろ見ていて気にならなくなってきます。それよりもスローの画力が勝ってきます。
4:人の動きであれば10%〜30%くらいなら、大体キレイに見える
あまり細かい事を考えなくても30%くらいのスローであれば、シンプルにキレイに見えます。これは映像編集ソフトの通常スローでは表現できない滑らかさがあります。下の世界一可愛いマルチーズが歩くシーンは、足下をよく見るとモーフィング具合が分かりますが、全体的な滑らかなスローが美しいのでさほど気になりません。
5:水の速い動きや1%〜3%あたりのウルトラスローはシビアに
逆に水など形状が変わりながら速く動くものや、スーパーウルトラスローの世界は、上記に書いたような点についてシビアに事前に考えて、なるべく1色の背景で撮ったり、いろいろなパターンを撮影しておいて、後から一番良い部分を抜き出したり、そういうことをすれば美しいものが出来上がると思います。
同じ雪のしぶきに見えても、段階によって美しくなったり汚くなったりするので、その辺りの見極めは、エフェクトをかけるまで分からないかもしれません。
結論
ということで、結論としては、Twixtorのクセをつかんで、一番キレイに見える箇所をキレイに出してあげると、人がびっくりするような映像ができあがると思います。要は使いどころということになるんでしょうね。
僕は一番最初にTwixtorを買って触ったとき、素人映像クリエイターにありがちな「錬金術」的なものを求めていたので、むしろガッカリしました。ワンクリックでスーパースローが作れる錬金術ではない事は確かです。それでしばらくあまり使わなかったんです。でも改めて使ってみると、バチッと決まった時のスローの美しさはやっぱりスゴいので、とにかく効果的に使うことが重要だと思います。
ちなみにTwixtorは3万円、Proバージョンになると6万円です。どんなカメラで撮った物もキレイにはしてくれますが、スーパースローだけの事を考えたらですね、GoPro3のブラックは240fpsで撮影できたり、カシオのカメラが1000fpsで撮影できたりと、おいおいハード買った方がはええじゃねーかという議論もございますので、そちらもご考慮ください。ちなみにGoPro3のハイスピードは僕も楽しみにしておりまして、現在予約中なので、届き次第レポートさせていただきます。
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