小さい頃から、勉強にはちょっとうるさい母親だった。
良い大学に入るために高校受験もしたし、大学受験もした。
晩飯を食わない時に連絡をしないと、めちゃくちゃ怒られた。
口うるさかった。
当たり前のことで、どこの家庭もそうだろうけど、ある年齢を超えてからはピタリと何も言われなくなった。
とてもやりやすい親になったなあなんて思ったりもした。
会社をやめてフリーランスで独立する時、親は海外にいたので、悩んでメールで報告した。
元々、教育にうるさかった人だから、会社を辞めることには、何かしら言われると思った。
そうしたら「好きなことをやるのは良いことだ」といった内容の返信が来て、すごく驚いた。どう見ても応援のメールに見えた。ちょっとした感動すら覚えた。
だから38歳で結婚していなくても、今まで何か言われることもなかった。まあ僕が男というのもあるかもしれないけど、とにかくうるさく言われないのは楽ちんだった。
ある日、高校時代の友だちが久しぶりに僕の実家に遊びに来た。
学生時代ぶりだったかもしれない。
昔から家族を紹介しあっていたから母親のことも知っていたし、普通に喋る仲だった。
そうしたら、母親が堰を切ったように
「全然結婚しないのよ。
○○君からも言ってやってよ
本当に結婚する気配もないのよ。
もう全然、なにもないのよ、どうなってんのかしら」
喋る喋る、俺の結婚について喋る喋る。
僕は、その時、ああ心配をかけていたんだなと思いました。